中国日本酒輸出の規制について、気になりますよね?

投稿日:2016年8月9日|投稿者名: 中野 |16855 回閲覧

中国へ日本酒や焼酎を輸出したい、又は食品等を輸出したいとお考えの方の殆どがまず最初に気になるのが「中国側の輸入規制や満たす必要がある決まり」についてではないでしょうか。

 

東日本大震災以降の酒類に関する輸入規制措置の情報は国税庁に記載があるので参考になるかと思います。

  • 宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野、千葉、東京

この地域の県産の商品は輸入停止がされており、上記の地域以外の産品に関しては産地証明が必要と案内があります。(平成25年12月国税調べ)

参考:https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/sake_yushutsu/02.htm

※上記の規制内容は時間の経過により変更が考えられますのでご注意※

 

 

産地証明書の取得に向けては、輸出者は蔵元と協力し合って情報の収集が必要になってきます。ですので、中国向けに日本酒や清酒の輸出を考えている輸出者は、蔵元と一緒に動ける体制が整っていないと正規で輸出は難しいでしょう。産地証明を取得するには、輸出者が勝手に用意した書類で取得が出来る訳ではありません。行政機関からOKをもらう為には、「証明書類」が必要になってきます。これは、輸出者が作成できる範囲ではないので、注意が必要です。

 

その他にも中国の輸入通関時で必要となってくる日本で用意する情報がありますが、もしもお付き合いのある蔵元が初めて中国向けに輸出を行うのであれば、「それって何??」と分からない事だらけかと思います。実際僕達が輸出した際も行政機関のご担当者の方が不慣れだった事もあります。行政の方も分からない実務的な話であれば、「物事を進めるのがとても大変」なのは確かです。ですので、輸出者は積極的に情報収集を行い、関係機関とも連絡を取り合い、そして蔵元にも「こういった情報を収集してください」と手引きをする必要がありますね。

 

 

日本側で準備するものは日本で。中国側の準備は輸入者に動いてもらう。

 

大前提としてアルコール飲料の輸出入を形にするには、

  • (1)輸出者も輸入者も免許を持っている事
  • (2)輸出可能な商品を取引してくださる蔵元から入手可能かどうか
  • (3)貿易実務

ザックリと言えばこの3つが求められてきますね。(1)と(2)は輸出者対取引相手(輸入者・蔵元)の話となります。

 

(3)の貿易実務は蔵元、輸入者、輸出者の3者で協力し合って動く必要があります。実務の内容を調べたい際にインターネットで検索をすると、JETROさんから案内されているガイドブックを目にする事があるでしょう。ガイドブックには親切丁寧な情報が載っていますが、輸出者なり蔵元が読む際は、「どこまでが自分達日本側」が日本で対応が可能で、「どこから先が輸入者」に動いてもらう事なのか?を把握する必要があるかと思います。

 

  • 産地証明書
  • 衛生証明書

は日本側での取得ですので、輸出者と蔵元が協力をして取得に向けて動きます。

 

中国の港での輸入通関時に満たす必要がある情報は、勿論輸入者さんに動いて頂く必要がありますね。これは蔵元なり輸出者が対応出来ないと思います。必要に応じて日本側から情報提供は行う事はあります。

 

「ラベル」について、輸出者・蔵元は気になる事が多々あると思いますが、規則・決まりを満たす為には、輸入者に動いてもらう事で準備を進める事が出来ます。ラベルをどこで貼るのか?は日本の蔵でも可能でしょうし、現地の港(保税倉庫)で貼る事も出来ます。勿論、貼る予定のラベル情報は事前に輸入者が関係機関に内容チェックをしてもらい印刷するなり、データを日本の輸出者に送ってくるのが好ましいですね。

 

 

日本側で用意する書類には英語で作成するのもある

 

産地証明書、衛生証明書は英語での表記になるので注意が必要です。また、どの様に記載して良いのか分からないという場合も多いと思います。この書類がちゃんと用意できないと中国側の現地通関で問題が発生するので、シッカリと進めたいポイントですね。

 

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初めて準備される方であれば、特に産地証明書の内容を理解するのが難しいかもしれません。誤字脱字は避けたいのは勿論ですが、「細かな情報記載」を求められます。船名も具体的に記載する事が求められます。

 

不備等によるやり直しを避ける為にも、実務経験者に相談をするか、行政機関の担当者に内容チェックをしてもらう等の実務が重要です。

 

輸出者が各種書類の準備を進めて、蔵元に内容を説明して、その他の情報収集・提出を協力して頂くような連携をしなければ、この書類を完成させるのは結構難しいです。もしも蔵元が英語が得意で、なおかつ実務経験があれば比較的スムーズに書類の準備を進める事が出来ると思いますが、そういったケースはあまり多くないのが一般的かと思います。ですので、こういった部分で輸出者がリード出来れば、「○○さんが進めてくれるから、助かるよ!」と蔵元も感じてくれるでしょう。

 

「蔵元へ丸投げ」というのは避けたいところですね・・・。

 

 

Invoice、Packing Listも細かく何度も内容チェック!

 

中国以外の国々で求められることのない情報収集に気を取られるばかり、InvoiceやPacking Listの事をおろそかにしてしまっては、大きな問題が発生する可能性があります。ですので、この必要書類にも細心の注意が必要です。

 

特に気をつけたいのは「誤字脱字」や「表記の統一」です。各提出資料がそれぞれ表記が揃っていないと、「まったく別商品」と指摘される場合もありますね。また、日本酒や焼酎は異なるサイズ(ML)の商品も存在します。

 

例えば、

  • ○○酒造 純米大吟醸

という商品があったとしても、輸出時に1800ML、720ML、300MLが存在するのであれば商品名記載に注意が必要です。

 

最近日本の輸出通関時にも注意される事が多くなったと聞きますが、「貨物の重さ」情報は大雑把なKGを記載するのではなく、細かく記載する事をお勧めします。日本の港でも書類上の重さと、実際の貨物の重さの誤差が大きいと問題になる可能性が高いです。実際、僕達もいつも連携してくださる通関士に、「情報には気を付けてくださいね」と何度も注意されています。

 

僕達も中国向けのInvoice、Packing Listの作成時は結構ナーバスになるほど、何度も何度も内容チェックをしています。ここでミスがあると通関に問題が出る可能性があるので、そういったトラブルを避ける為にも輸出者はとにかく情報の記載に気を付ける事をお勧めします。

 

 



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