香港への日本酒輸出について

投稿日:2016年8月10日|投稿者名: 中野 |18280 回閲覧

僕達が併設して運営している会社では2013年から香港へ日本酒を輸出しています。毎回の輸出量はあまり多くない物量ですが、ある程度の高額商品を出しています。このプロジェクトはお付き合いのある蔵元さんのご紹介で実現する事が出来ました。ですのでとても感謝しております。

 

年間数回の輸出を同じ輸入者へ行っているのですが、毎回成田空港から航空便で香港空港まで輸出しています。そして現地空港についたら、輸入通関を行ってもらい、香港内でトラックデリバリーもアレンジし、輸入者が指定する倉庫へ搬入するという流れとなっています。

 

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今まで何度も香港へ輸出をしてみて思う事は、他の相手国に比べて輸出、そして現地での輸入通関の手続きが簡単という事です。別の輸出相手国によっては酒の検疫検査、ラベル・商品登録、原産地証明書等、細かな情報が必要になる国もあります。しかし香港は今のところそういった難しい事前準備がなくてもスムーズに輸入、流通が出来ています。勿論、輸入者が色々と事前に動いてくださったから、というのもあると思いますが、輸出者としては香港へ送るのはやりやすいという印象があります。

 

ウィスキー等、アルコール度数が高い酒類の輸入については、香港の輸入者は輸入免許が必要らしいです。確か度数が30度以上の酒類と記憶してます。一方ワインや日本酒のようにアルコール度数が12%~15,16%ぐらいの酒類であれば輸入免許がなくても通関が出来るそうです。日本や僕達の他の輸出相手国と比べても輸入に関するハードルが低いので驚きですね。

 

 

僕達の空輸の流れ

 

実際に僕達が送る際は今まで1社の酒蔵さんの商品を送っています。商品の数は多い時で10種類ぐらいでしょうか。輸出時のご案内が複数社ではないので、僕達の準備は比較的難しくはありません。でも毎回ミスの無いように細心の注意を払って準備をするので緊張感はあります。蔵元や輸出相手にご迷惑をかけたくないという気持ちが強いからです。

 

  • 注文(Purachase Order)を頂く
  • 空輸会社へシッピングの見積もりを頂く
  • 酒蔵に輸出時の手引をお知らせする
  • 僕達も輸出関連書類を一式を準備する
  • 貨物が搬入され次第、輸出通関へ進んでもらう
  • 通関後、なるべく早い便で成田空港(東京)から出航
  • 現地に貨物が到着後、僕達が送った書類で輸入通関を進めてもらう
  • 通関後に手配している配送会社に商品を倉庫へ搬入してもらう
  • 輸入者に商品を確認してもらう
  • 空輸・配送代のコストを空輸会社にまとめてもらう
  • 賞品代、経費を輸入者へ請求する
  • 入金確認後、シッピングが終了

 

ザックリと書くと、こんな感じの流れで輸出しています。

 

 

特に気を付けるのは蔵元へご案内する手引きの内容

 

相手国がどこであっても、輸出をスムーズに行う為には輸出者が上手に取りまとめ役として機能する必要がありますね。酒蔵の方々は酒を造るのがメインの仕事であり、日本国内での流通も大事な営業活動で行っています。しかし、海外とのやり取りや輸出の手配というのは酒蔵の方々は普段行わない実務である事が多く、輸出者は「いかに労力を下げる事が出来るか?」がポイントとなってくると僕達は常々考えています。

 

連携してくださる蔵元に「輸出は難しい、面倒だ」という印象を持ってもらわない為には、輸出者がステップバイステップで手引きをする事で労力削減につながるはずです。

 

スケジューリングや、書類の書き方、出荷する商品をどの様に準備するのか?日本の搬入先倉庫へ送る際の書類の書き方等、1つ1つを細かく手引書にまとめるようにしています。

 

勿論、この手引きの仕方は輸出者がそれぞれ考える内容なので、必ずしも僕達のやり方が他の輸出者に当てはまらない可能性もあります。少なくても、僕達と連携してくださる蔵元の皆さんには、いつも同じような手引き内容を用意し、ご担当者さんがスムーズに動いてくだされば幸いと僕達は思っています。この手引きと、実際にご担当者さんと連絡を細かく取り合う事で、ミスの数を減らす事が出来ます。慣れたご担当者さんですと、本当に数日以内には出荷準備が整い、香港へ送る際の日本国内の準備もとても早く行う事が出来ます。ですので、いつもご協力してくださる蔵のご担当者さんにはとても感謝しております。

 

 

香港でも貨物の税関検査がある

 

直近で僕達が輸出した日本酒の中から720ML1本が香港の税関にて検品という事で抜き取られました。今まで何度も送ってきた中で今回初めて税関検査があったので、少し驚きました。勿論、検品を受けたとしても問題無いように書類も準備してますので、何のトラブルもありませんでした。

 

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実際に税関検査があった場合は、速やかに輸入会社の担当者へその旨を伝えるのが大事ですね。ですので、僕達もすぐに輸入会社の担当者へ連絡をし、対応をしてもらいました。送った商品から1本抜き取られてしまうのは残念な話ですが、税関検査はしょうがないですね。

 

次回以降の輸出の際も、税関検査が入る事があると頭に入れて、今まで以上に自分達がまとめる各種書類の内容を細かくチェックして通関を受けたいと思います。

 

 



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