最近、中国本土へ焼酎を輸出したのでその時の事を少し書いておこうと思います。普段僕達の輸出は清酒がメインなのですが、今までに何度も焼酎の輸出もお願いしたいと輸入者からリクエストされた事があったので、数年前に焼酎の取り扱いが出来るように免許の内容をアップグレードしました。実際に焼酎の取り扱いが出来るようになったからといって頻繁に輸出している訳では無いので、今後は焼酎にも力を入れていこうと考えています。
今回中国へ実際に輸出した焼酎は全部で3Pallet分。どちらかというと試験的な輸出であって、現地の動きを見てみたいという輸入者の希望です。
蒸留酒文化は世界中で存在していて、日本では焼酎や泡盛なんかが一般的ですね。海外でも様々なスピリッツがあり、中国では紹興酒が有名ですね。蒸留酒に馴染みのある方々であれば、日本の焼酎に対する理解度もある程度高いかと思います。
しかし焼酎は日本酒に比べるとあまり海外ではまだ知名度が無いのか、財務省が発表している輸出統計をみても輸出の金額は過去10年をみても大きな伸びは見られないようです。日本酒の対輸出相手国としてアメリカは第一位をキープし続けていますが、焼酎の輸出相手国としてみると、アメリカは清酒の約1/10ぐらいの焼酎を輸入しているようです。焼酎の輸出相手国の上位の国の名前をみると中国、アメリカ、そして香港の3つがあがってきます。このうち、中国と香港の2つが入っている事を考えると、このエリアへの焼酎の輸出は重要ポイントであるといえると思います。
中国への輸出は準備が色々と大変
日本酒も焼酎も中国向けで準備する必要がある日本国内の各種書類は、不慣れな人には「とても大変」かと思います。なぜなら、「どうやって準備して良いのか?」がよく分からないからです。申請手順や書き方手引きがあったとしても、実際に自分が準備する書類の内容で「本当に輸入通関出来るのか?」という不安は皆さん感じると思います。
3Palletだろうが、3ケースだろうが、準備する労力は同じ。つまり物量に関係なく大変なんですね・・。ですので、どうやって準備して良いのかが分からない人にとって、この必要書類の取得というのは大きな悩みの種になると思います。
そして、各種関係書類の取得に向けて輸出者が蔵元に上手に手引きが出来ないと、蔵元も「この輸出者で大丈夫かな?」と、ちょっと不安になってしまうかもしれません。そういった不安を避ける為にも、輸出者は出来るだけスムーズに、そしてトラブルがないように準備を進めていく必要があるでしょう。
でも、そんな事を言っても誰にでも初めての輸出の際は、避けては通れない難しい輸出準備。相談相手も見つからずに困る事も多いでしょう。実際に僕達も各蔵元の地域を管轄する行政に電話相談を一番最初にしましたが、「うちの事務所ではこの様な書類を出したことが無くて・・・」という反応もあったりします。酒蔵がある地域が、あまり海外向け輸出の案件が無い場合、行政の方も勿論経験が浅く、それに伴い輸出者、蔵元も足止めをもらってしまう場合があります。ですので、行政の方に、自分達がどの様な書類を最終的に欲しいのかを伝える事が大事かと思います。僕達は、電話相談の他にもFAXをして書類の内容をチェックしてもらったりもします。そうする事で、出来るだけミスを避ける事が出来ると思うからです。
実際に中国で輸入通関された各種書類が見たい
輸出者であれば殆どの人が「実際に輸入通関で通用する各種書類」を見てみたいと思うかと思います。その書類を見る事が出来ればとても参考になりますよね。「なるほど、こういう風に記載すれば良いのか!」と悩んでいたモヤモヤがすっきりするでしょう。
でも、ネットで調べても出てくる情報というのは「手引、統計、ニュース」等ばかりで、自分達が知りたい情報を見つける事は殆ど無いかと思います。ですから、中国向けに輸出される企業の方々はとても大変な思いをして輸出していると思います。
僕達は準備段階から沢山のメモを取るようにして、電話内容を控えたりしています。そうする事で次回以降の実務に役立てる事が出来るからです。そして、細かくステップをWordで残し、どの様な手順で、どういった書類を準備するのか?そしていつのタイミングで何をするのが好ましいか?の実務ノウハウを自分達の経験値として残すようにしています。これが無いと、次回のシッピングの際に「あたふた」する事が予想されるからです。その位、細かいし、普段やらない作業が多くて大変です・・。
そして実際に輸入通関で使用する各種の書類は勿論自社でコピーをとって保管しています。ですので、今回の輸出時にどんな書類を使用したか?の情報は僕達の宝みたいなものです。
本当に細かな情報が多い
中国向けに焼酎を輸出してみて、感じた事は用意する書類の細かさです。用意する書類といっても2通りのものがあります。
- 輸出者が自社で用意する各種書類
- 行政に申請依頼をして発行してもらう書類
まずは、行政に出してもらう書類について「どうやって準備するのかな?」と考える方が多いかと思います。特にこれらの書類は普段別の国向けで取得しないものだと思いますので、不慣れからくる不安もあるでしょう。
しかし、それ以外にも自分達が輸出者として準備する書類の記載内容にも気を付ける必要があります。僕達も今までに何度も色々な国々へ輸出してきましたが、「えっ!?中国の輸入通関時にはこういう記載を求めるの???」と驚いた箇所がありました。ハッキリ言って、今までやった事のない記載の仕方だったので、「勉強になった」というのが実際の気持ちです。国々によってクセが違うんだな~と感じさせられる瞬間でしたね。
こういう実務的な話は実際にやっている人間、経験した人間でないと分からない話なので、ネットで調べても出てこないかと思います。行政のHPでも、そんなに手取り足取り細かなステップは書いていないですね。どちらかというと広く見て役立つ情報、例えば統計や規制についてが書かれているのが一般的ではないでしょうか。
実際に焼酎が港を出港し、中国現地の港に到着。この時のお知らせはとても嬉しいものです。そして、自分達が準備してきた各種書類も国際郵便のEMSを使って発送。郵便局で発送作業を行う時は感無量です。「この書類で中国側で輸入通関が出来る!」と思うと、本当に嬉しくなります。準備に悪戦苦闘してようやく、ここまでたどり着いた・・・という感動です。
焼酎・日本酒の中国向け輸出について、相談相手はいますか?
もしもこれから本格的に中国へ輸出を考えているんだけど、実務の途中で立ち止まって困っている・・・。どうしたら良いのか分からない等でお困りの方がいましたら、輸出経験のある方に相談するのが近道かと思います。
僕達は実際に輸出するまでに結構な時間をかけて少しずつ問題を解決してきました。一番最初の輸入者からの相談から考えて、半年後ぐらいにようやく最初のコンテナを出す事が出来ました。この間に時間を無駄にしていたのではなく、輸入者と一緒に1つ1つ準備する書類についてやり取りをし、その後僕達は日本側で行政に問い合わせたり、蔵元とのコミュニケーションを行っていました。
書類の準備を進めていても分からない事、あいまいな箇所も何度かあり、その都度不明点をクリアしていく必要がありました。ですので、ある程度時間はかかりましたが、最終的に一式必要な情報を揃える事が出来たので、とても勉強になりました。
自分達の輸出プロジェクトで実務の相談相手が欲しいとお考えであれば、一度僕達に相談をしてみませんか?現状をお知らせ頂ければ、僕達も具体的なステップのお話が出来るかと思います。