ワイナリーとの商談(交渉)も無事に進み、発注書も送った。相手側は、まずは商品代金を払ってくださいと請求書をメールで送ってきた。という事で、今度はお金の支払いをしないといけないのだけど、やっぱり初めての支払いなので心配・・・。
このように思われる方もいて当然ですよね。
でも、輸出者側(メーカー)としては、初めての取引なので「先払い」を希望してくるのも理解できる話です。貨物は送ったけど、支払いがされないなんて事になれば、生産者側も困ってしまいます。先払いか、後払いにするか?は輸入者と輸出者間での話合いで決める事なので、お互いが気持ちよくビジネスが出来る話し合いにしたいですね。
商品代金の支払い準備
自分が輸入したいお酒(ワイン等)の数量が決まれば、「1本当たりの金額×注文数量」で合計額が算出出来ますよね。それか、ケース単位での値段が輸出者から提示されるかもしれません。いずれにしても、買い付けをしたい本数が決まれば、商品代金の合計が出ますので、その支払いを行って欲しいというのが、輸出者側の希望です。
そこで、初めての取引ですし「先払い」をお願いしたいと輸出者が行ってきた場合、その支払いが受け取り側で確認出来なければ出荷準備を動いてくれないはずです。しかし、輸入者としても先に全額を支払うのはちょっと不安と思う方もいるかもしれません。ただし、輸出者側の条件が先払いとなっていれば、その通りにしないと前へは進めないので、支払いをするのが先決ですね。
相手から送られてきた請求書を見ると、「USD・アメリカドル」、「Euro・ユーロ」、「その他の通貨」など、輸出国の通貨での記載が殆どかと思います。「JPY・日本円」での記載は殆ど考えられません。どの通貨での請求内容だとしても、まずは為替レートをチェックして、その合計額が日本円でおおよそ「何円」なのか、を確認しましょう。その金額が自分の希望価格であれば、支払い準備を進めます。
支払方法は銀行経由の海外送金が一般的
請求書の金額の他に、振込先情報が記載されているはずです。○○銀行の○○口座のような感じですね。それとSWIFT CODE等が記載されているかと思います。これは、受取人側の銀行情報なので、送金時に日本の金融機関に伝える必要があります。
外貨送金でUSDやEURO等の海外送金をする際は、日本の銀行によっては対応していないところもありますので、事前に自分が利用している銀行の窓口へ行き、相談をされる事をお勧めします。一般的には、大手銀行であれば、海外送金の対応もしているので、比較的スムーズに出来ます。記入用紙が用意されていますので、そこの受取人側の銀行情報、金額、場合によっては送金の理由を伝え、実際の国際送金が行われます。
信用金庫や、あまり規模の大きくない銀行の場合ですと、USDの海外送金は可能だけど、その他の通貨は出来ないと言われる場合もあります。自分が普段使用している銀行で海外送金を行うのが難しい場合は、大手銀行の口座を開設するか、別の方法で送金が出来ないか?を検討する必要がありますね。
実際の海外送金を行う
日本の銀行の窓口へ行くと、「今回の海外送金の理由は何ですか?」と聞かれる場合があります。金融機関としても、「どうして海外へ送金するのですか?」という理由が気になるようです。貿易ビジネスを行っていく上での海外への送金や、海外からの受け取りというのは、良くある話なので、「輸入する商品代金です」と窓口の方へ伝えると大丈夫です。
最近ですと1~3日もあれば、日本からの海外送金は相手側に届きます。提出した書類に不備がなければ、スムーズに送金が出来るはずです。しかし、相手国や、別の銀行を経由しての送金になる場合は、数日多く時間がかかる場合もあります。
送金手続きが終わりましたら、レシート(証明)が発行されるので、心配であれば、その情報をスキャンし、受取人へメールで送りましょう。そうする事で、「日本側では送金の手続きを完了した」というUpdateをする事が出来ますね。勿論、金額や相手の口座情報等の内容をチェックしてもらうのも良いかと思います。不備があれば、直ぐに金融機関へ行き、訂正をお願いするのが良いでしょう。
海外送金時には日本の金融機関にも手数料を支払うので、注意が必要です。最終的に、輸出者が請求金額通り受け取れるように、手配をしなければ、「総金は受け取ったけど、足りなかったからまた送って」なんて事になる場合も考えられますよね。ですので、相手がちゃんと満額受け取れるように日本側から手配をしましょう。
輸出者が送金の受け取りを確認できたら
「今日無事に請求した金額を受け取ったよ」といった内容の連絡が輸入者に入るかと思います。輸出者・輸入者の話し合いで「送金完了後に発送」となっているのであれば、直ぐに出荷準備を進めてもらいましょう。
良心的な輸出者(ワイナリー・生産者)であれば、入金確認後に速やかに動いてくれます。送金は完了したけど、いつまで経っても出荷準備を進めてくれないというのは、困りますので、心配であれば事前に「送金受け取り後、○○日以内にワイナリーを出荷する」といった取り決め事をしておくのも良いかと思います。
無事に出荷準備が進みますと、後は空輸なり、船便に載せて日本へ貨物がやってきます。空輸の場合ですと、数日以内には日本の空港へ貨物が到着しますので、それまでに輸入通関の書類や情報をまとめ、通関担当者へ渡しましょう。こういった実務を早め早めに行う事で、スムーズに輸入通関が出来ます。船便の場合ですと、ヨーロッパからですと約1ヵ月半ぐらいの時間で日本に貨物が到着します。この時間を使って各種の情報を集めて、通関担当者へ提出する流れとなります。
貨物が相手国を出ると、受け取りまで自分達でシッカリと貿易実務を行いましょう。まずは、Bill of Landing(B/L)を輸出者から入手し、日本側の通関担当へ渡しましょう。その他にも、商品の製造工程表や原材料表、ラベル等、輸入通関時に必要な情報は輸入者が揃える必要がありますね。情報によっては、製造者側から入手する必要があるので、出来れば貨物が現地を出航する前に入手するのをお勧めします。僕達がサポートするクライアントには、まずは貨物の出航より情報収集を一番先に行ってもらっています。
出航前に金融機関での支払いがあり、ここで長く時間が取られては貨物の受け取りの時間にも影響してきますので、スムーズに行いたいところですね。まずは、お付き合いがある日本の銀行・金融機関が海外送金をスムーズに行う事が出来るかどうか?を事前に確認する事をお勧めします。場合によっては海外の通貨での総金が難しいという事もあるので、そうなってから別の銀行口座(法人口座)の開設準備をしていては、審査に1,2週間かかったりと、時間が掛ります。こういった時間を発生させない為にも、早め早めに国際送金に関する準備を進めることがポイントになってきます。
初めての海外送金となると不慣れな事も多く、心配になる事もあると思いますので、慌てずシッカリと対応する為にも、事前に情報収集をされる事をお勧めします。今現在ご利用されている金融機関に相談してみて、海外送金が難しい場合は、大手銀行からの送金であれば、比較的にスムーズに出来ますので、そういった金融機関へ口座開設の相談をされるのも良いでしょう。
輸入時には、色々と気を付けることが出てくるので、1つ1つクリアしていきたいですね。
実際の輸入に向けて準備を頑張りましょう!