ワインのテイスティングとは、外観、香り、味わいを感じとり、総合評価をすることです。ワインのテイスティングができるようになると、ワインの特徴をお客様にわかりやすい言葉で説明できるようになったり、ワインに合う料理を提案できるようになったり、さらに自分自身もより一層ワインを楽しむことができるようになります。
ワインのテイスティング能力は経験の積み重ねによって向上します。正しい方法でテイスティングの経験を積み重ねることにより、ワインのテイスティング能力は必ず向上します。
ワインのテイスティングでは、まず最初に外観を観察し、次に香りを感じとり、最後に味わいを見ていきます。それぞれのポイントを説明します。
外観
清澄度、輝き、色調、濃淡、粘性、泡立ちを観察していきます。
清澄度:清澄度により、ワインの健全性を確認することができます。ワインが混濁している場合は何らかの異常がある可能性がありますが、無濾過のワインの場合やタンニンが豊富なワインの場合は健全であっても混濁している場合があります。
輝き:輝きが強いほど酸が高くなるため、輝きにより酸の高さを知ることができます。
色調:白いテーブルクロス等の上でグラスを傾け、楕円形になったワインの液面のふちの部分の色調を観察します。ワインの熟成度合いを知ることができます。
濃淡:ワインの成熟度合いを推測することができます。
粘性:グラスを回し、グラスの側面をワインがゆっくりと落ちていく様子を観察します。粘性を見ることにより、アルコール度を推測することができます。また甘口のワインの場合は糖度が高いほど粘性は豊かになります。
泡立ち:スパークリングワインの場合は泡立ちも観察する必要があります。ここでは、泡の大きさ、量、持続性を観察します。また、スティルワインの場合でも、スクリューキャップの場合やシュル・リー(アルコール発酵後、澱引きしないで翌年4〜5月頃まで放置し、澱の上にある上澄みのワインだけ瓶詰めする方法)で作られたワインの場合、気泡が見える場合があります。
香り
始めに香りの豊かさを感じとり、次に香りの特徴を感じ取っていきます。香りの特徴には第一アロマ、第二アロマ、第三アロマ(ブーケ)の3つの種類があります。第一アロマは原料のぶどうに由来する香り、第二アロマは発酵により生まれる香り、第三アロマは熟成により現れる香りです。
味わい
アタック、甘み・果実味、アルコールのボリューム感、酸味、苦味・タンニン、余韻を見ていきます。味わいを見る際は、ワインを口に含んだときに口の中から鼻へ抜けていく香りも感じとることができます。また、舌でタンニンの状態も感じとることができます。つまり、味わいを見る際は、味覚だけでなく、嗅覚、触覚も働かせることが重要になります。
味わいを見る際に一回に口に含むワインの料は10〜15mlが良いとされていますが、重要なのは、常に同じくらいの量を口に含んで味わいを見ていくことです。
最後に、テイスティングをする際に気をつけるべきポイントを説明します。
まず、外観を観察する際に、白いテーブルクロスやマットなどを用意する必要があります。また、できれば国際基準化機構(I.S.O.)によって定められた規格のワイングラスを用意することをお薦めします。テイスティングの場に邪魔になる香りがあると、香りをより正確に感じ取ることが困難になります。そのため、テイスティングの場では、香水、強い香りの化粧品や整髪料は控えましょう。また、テイスティング直前の喫煙も厳禁です。そして、味わいを正確に見るためには香辛料を多く含む料理やミントの入ったガムやお菓子、アルカリ性の練り歯磨きも控えましょう。