スパークリングワイン、発泡性果実酒の輸入方法はやや難しい

投稿日:2016年6月6日|投稿者名: 中野 |6161 回閲覧

「スパークリングワインを輸入したい」

ちょっと前から相談を進めていたお客さんの貨物が無事に日本に到着し、お客さんの手元にも商品が届きました。今回この商品を輸入するに当たり色々と大変だったのが印象的です。

 

 まずこの商品を輸入するに当たり

  • 関税はいくらになるのか?
  • 酒税はいくらで計算するのか?
  • 日本語の裏ラベルはどの様に準備すれば良いのか?

 ザックリとこの3つがポイントでした。

 

なぜならこのスパークリングワインは一般的なスパークリングワインとは異なり、少し特殊なドリンンクだったからです。製造工程の中で添加物が色々あり色も味も香りも追加された商品でした。もしかしたらリキュール扱いになるのかもしれないとも思いましたし、品目がハッキリとしない限りは税金計算が出来ない・・・。そして品目がハッキリしない事で裏ラベルの情報も決められないと、プロジェクト的にはハードルが高いものでした。

 

 

まずは情報収集から開始

 

海外のメーカーに3つの情報を出してほしいとお願いをしました。

 

実際に最初メーカーからきた情報は、ある程度まとまっていたものの、少しザックリ過ぎでした。特に今回は複数の味(商品)があった為、各商品分の情報がそれぞれ必要だったのですが、このザックリとした情報は、1つで全商品分のような感じでまとめられていたので、「微妙」というのが第一印象でした。

 

日本の輸入通関時では、厚生省から「食品・酒類について」詳しい情報を出すようにといわれます。ここである程度詳しい情報を出せないと、「追加でアレ出して、コレ出して」というリクエストが出てくるので、バタバタしてしまいます。

 

 

税関とのやり取りを何度も行う

 

スパークリングワインは空輸便で成田空港へ到着予定だったので、現地を出航すると48時間以内には日本に到着してしますスピード感が求められます。ですので、貨物到着前に出来る限りの準備を日本側で行う必要があります。1000本でも100本でも20本であっても、準備する内容は同じ。つまり結構大変です。

 

 まず日本語の裏ラベルの「品目」をハッキリさせる必要があるのですが、税関側も話す相手が異なると見解が異なり情報がジグザグしてしまいます。品目がハッキリと決まれば、僕達の方でも「税金の計算」が出来ます。これは独自で作っている計算表を使用し、貨物が到着前に事前に「おおよそこの位の税金が発生する」という数字を出すようにしています。これにより、輸入者はある程度のコストを想定する事が可能となります。

 

僕達の方でも電話、FAXで何度も税関へ問い合わせを行いましたし、輸入者さんにも実際に税関へ足を運んで頂き、メーカーから頂いていた「必要情報」を提出して相談を進めて頂きました。その結果、「品目」が明確となり、「裏ラベル記載事項」も最終確認が取れました。

 

それに基づき、裏ラベルを直ぐに作成し、印刷をしました。その後、「表示方法届出書」の書類もまとめ、輸入通関に向けての各種書類、裏ラベルを短時間でまとめる事ができました。

 

 

スパークリングワインを、いざ輸入通関へ

 

 今回の空輸で大事なポイントだったのは、「日本で検疫検査を受ける」という事でした。検疫検査とは、日本に入ってくる食品や酒類等を検査機関へ出し、「添加物や酸化防止剤」の数値を細かく検査してもらう事です。この検査を受ける事で、人体に影響が無い数値が出ますと「輸入食品等試験成績証明書」という書類が発行されます。この検査書は発行より1年間の使用が出来、次回の輸入の際も同じ商品であれば、使用する事が出来ます。

 

もしも輸入する商品が検査を合格出来るかどうか?気になる場合は、本番の輸入(例えば海上輸送でフルコンテナ)を行う前に、空輸で少量を輸入し、こういった検査を日本で受ける事をお勧めしています。

 

なぜか?

コンテナで数千本の商品を輸入しても、もしも輸入通関時に「輸入不可」となってしまえば、その商品は輸入販売出来なくなってしまいます。そういった事態を避ける為にも、安全には安全にという事で、検疫検査を受けるのが得策と僕達は考え、お客さん(輸入者)へお知らせしています。

 

もちろん、この検疫検査を受ける為には、書類への記載(ややこしくて難しい)や、メーカーから入手して頂く必要情報もあります。ですので、ある程度の準備を行う事が出来ないと、検査自体を受ける事すらドタバタし、輸入通関までの時間が伸びてしまいます。だからこそ、事前の情報収集作業を行い、ステップバイステップで必要なものをクリアしていく必要があります。

 

 

輸入は簡単だなんて思わないのが大事

「現地から貨物が発送されれば後は何とかなるでしょ!」

なんて甘い事を考えていると、通関時に大変な思いをするでしょう。

 

そしてこの大変な思いというのは、

  • 時間
  • 労力
  • 何よりコスト

 の3つを意味してきます。

 

通関が切れない貨物は、輸送会社の倉庫で保管される訳ですが、保管代も発生してきます。通関に時間がかかればかかる程、保管代も増えていきます。

 

今回僕達がサポートさせて頂いたお客さんのスパークリングワインは全ての商品が検疫検査を無事に合格し、裏ラベルの情報も問題なく、そして税金も納め、無事に手元へ届けられました。実際に商品が輸入者の手元へ到着したと聞いた時は「すごくホッと」しました。一般的なワイン(果実酒)とは異なり、着色・味付け有りのスパークリングワインだったので、とにかく今までサポートしてきたお客さんの事例とは異なり「難しい輸入」だったのは確かです。

 

税関との相談も何度も何度も行い事前確認を行ったので、最終的に輸入通関を通りましたと聞いた時の嬉しさは大きかったです。特にスパークリングワインは品目の箇所が難しく、これから同じような商品を輸入しようとお考えの方も苦労されるかと思います。僕達の経験上、難しい。これが言える事ですね。

 

もしもスパークリングワインの輸入をお考えの方は、ワイン以上に注意をして情報収集や、輸入通関準備を進める事をお勧めします。勿論、僕達の経験上、結構難しい輸入になってくると思いますので、初めて輸入される方は不安も多いでしょう。

 

もしも相談をしてみたいとお考えでしたら、まずはお電話かメールを頂ければ幸いです。僕達の経験があなたの輸入に役立てばと思います。

 

 



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