これから酒の貿易ビジネスを開始するのだけど、取引先から「原産地証明書(Certificate of Origin)」について質問を受けている。今まで自分でその書類を手配した事がないので、どんな書類なのか?が分からない・・・。そんな方もいるのではないでしょうか。
原産地証明書はどのタイミングで必要になってくるか?というと、一般的には輸入港での通関手続きの際に求められてきます。
例えば、中国やその他のアジアの国では、その国に貨物が輸入される際に原産地証明書を提出してくださいと言ってくる場合があります。特に食品や酒であれば、原材料がどこで生産され、その原材料をどこで加工し、加工場(製造工場)よりどういったルートで出航港へきたのか?そして何便に乗せたのか?と細かな内容を求められる場合もあります。
日本から酒類を輸出する際に求められる原産地証明書について
まずは、求められる原産地証明書の種類を確かめる事がポイント。一般的な原産地証明書が必要なのか?それとも特定原産地証明書が必要なのか?になってきます。
原産地証明書を取得するには、「輸出者」だけでは取得するのが難しい場合が殆どです。メーカーから頂く情報があるので、輸出者だけでは分からない項目が出てきます。例えば商品に使用している原材料についてですが、その証明をするには「輸出者」だけでは分からないですよね。実際の原材料の仕入れを行っているのは、メーカー(製造者)なので、メーカ側から必要情報を頂かないと、情報をまとめる事が出来ません。ですので、原産地証明書を求められる場合は、輸出者とメーカーが協力をしあって、情報をまとめていく必要があります。
オーストラリアへの輸出時にも原産地証明書が求められてきますが、この場合の証明書はとても不思議な感じです。行政機関からの発行された証明書ではなく、輸出者なりメーカーが作成した情報でOKが出るからです。オーストラリアは他の国と比べると、比較的原産地証明書の用意が簡単と言えるでしょう。
日本に海外の酒・ワイン等を輸入する際に原産地証明書が必要
一般的に、ワイン等の酒を日本に輸入する際には、税関はCOを求めてきませんね。ですので、日本の輸入者は気にする必要がないと思います。ただし、特別な理由で(例えばEPAを使い関税を下げるのが理由)となってくると、話が大きく変わってくるかと思います。
日本と協定を結んでいる相手国の産品を輸入する際に、その産品(例えばワインやテキーラ等)がEPAを使用出来、関税を下げられるのであれば、是非関税を下げたいという輸入者もいるかと思います。
この場合、輸入者が原産地証明書を用意するのではなく、輸出者に用意して頂く必要がありますね。ですので、可能であれば、輸入者から輸出者(メーカー)へ日本でEPAを使用する目的の原産地証明書が必要であるという趣旨を伝え、出来れば現地から貨物が出航する前に準備を進めて頂くのが好ましいかと思います。貨物が空輸便で来る場合は、出航後数日以内に日本に到着しますので、出航前段階で原産地証明書は入手したいですよね。船便だとしても、現地出港前後には、発行してもらいたいですね。「出航後何日以内に発行された証明書」といった決まりがある場合がありますので、それはEPAを結んでいる国と国との内容になってきますので、事前に細かくチェックをされる事をお勧めします。
初めて取得する場合
原産地証明書自体がどんなものか?内容も不明かと思いますし、記載事項の書き方に不備が無いか?も気になるかと思います。特に中国向け輸出に必要となってくる原産地証明書は、不慣れな場合はかなり難しいかと思います。実際に僕達も中国向けの証明書は取得した事がありますが、「そんな記載なの?」と少し驚く項目もありました。こういったのは、相手国で求めてくる情報の「くせ」というか、独特だなと思います。いずれにしても、取得する目的は、「輸入通関時に貨物の通関を通す為」ですので、相手国の通関が求めている内容を満たす必要があります。
通関時に必要な情報が記載されていないと、「作成し直し」か、「貨物が通関出来ない」か、「関税が満額かかる」等になってきます。つまり輸入者としては痛いですよね。そうならない為には、輸出者側が動いて、必要情報をまとめていく必要があります。
勿論、申請から実際の発行までに時間がかかる事も予想されますので、おおよそですが申請から10日~2週間程度はかかると考えておきましょう。また、通関時には原本が必要となってくるのが殆どですので、国際郵送の時間も考えておく必要があります。そう考えると、実際に貨物が到着して輸入通関をする約3週間前ぐらいには、申請を終えておくのが安心かと思います。
貿易実務には色々と情報との戦いが求められてきますが、一つ一つ対応をして無事に輸入通関をしたいですね!あなたはどんな貿易ビジネスをお考えですか?